世尊 観世音菩薩 以何因縁 名観世音
世尊 観世音菩薩 何の因縁を以て 観世音と名く
人にものを尋ねるということはなかなか難しいものです。何も考えずに気になったことをその場で質問できる人がうらやましいです。私など、その時気になっても、質問することで相手が気を悪くしないか、自分ひとりが声を出して場の空気を変にしてしまわないか、そしてその質問をすることで自分がどう思われるだろうか…などいろいろと考えてしまって動けなくなってしまいます。
その点、数えきれないお弟子さまや世界中から集まった聴衆がシンと静まり返ってお釈迦さまの声を待っている中、一人で声を挙げた無盡意菩薩さまには畏敬の念を抱かざるを得ません。
その場がお釈迦さまの説法の場であることを考えれば、弟子・信奉者による質問も当然あったことと想像できますし、そもそも観音経を無尽意菩薩とお釈迦さまとの問答を軸とした物語としてみるならば、最初の問いがなければ進行しないのですが、やはりこの質問は鮮烈で大胆不敵なものと言わなければなりますまい。
さて、肝心の質問内容はこのようなものです。
「お釈迦さま、観世音菩薩はなぜ観世音という名前なのですか」
他者の名前の由来を尋ねるという、なかなかインパクトのある質問を繰り出した無尽意菩薩。一見破天荒に見えますが、しかし、観音経の冒頭で示されたこの質問はこのお経が伝えるテーマ「智慧と慈悲」に迫るための大切な導入なのです。その意味では完璧なツカミと言えるでしょう。
皆さまも是非「観世音」という名前の由来を考えてみてください。
次回、お釈迦さまの答えは…
コメントを残す